
本記事では、熊の被害がどのような状態かを紹介します。ニュースや調査結果をもとにした情報から、人的被害や農作物への影響を紐解いていきましょう。
記事の後半では被害にあわないための対策方法などを解説しますので、これから山に入る方も、自宅周辺が山に近く被害を抑えたい方もぜひご覧ください。
日本における熊被害の実態

まず、日本における熊被害の実態を見ていきましょう。ここでは、下記2点について解説します。
- 人的被害
- 家畜や農作物への影響
熊による人的被害の発生状況
NHKのニュースによると、2023年度時点では全国で219人が熊による被害を受けており、この中で6人の方が亡くなっています。
また、2011年に発表された「人身事故情報のとりまとめに関する報告書」では、ツキノワグマによる人身事故発生の内訳が示されています。
ツキノワグマの被害で最も人身事故が多い地域は東北で52%、5月と9月に被害件数が多く、事故発生の内訳としては山菜採り・きのこ採りが合計で約50%を占めています。
春・秋の山菜採りのシーズンは熊に取っても餌が実る時期なため特に注意が必要です。
家畜や農作物への影響
基本的に熊は山の中で暮らしていますが、山の餌が少なくなってくる時期になると人里に降りてきて、家畜や農作物へ被害を及ぼします。
特に酪農や農作物が豊富に獲れる北海道では、2022年度に年間で2億7,000万円もの被害が出ました。
熊は簡単に餌が手に入る場所を知ると、その場に執着すると言われています。この習性から、同じ地域の農作物が被害に遭うことも少なくありません。
熊の出没が増加する理由
ここでは、人里で熊の出没が増加している理由を解説します。
森林環境の変化と食料不足
熊が人里に降りてくる大きな理由に、山の食糧不足があります。春先から初夏までは山の植物が潤沢に育ちますが、8~9月頃になると草木が硬くなり、栄養価も下がります。
山の中で餌が少なくなった熊は行動範囲を人里まで広げ、秋に実る果物や野菜を食べてしまうといった仕組みです。
人間の生活圏への接近が増える要因
人里への接近が増える要因の1つは、山と人里の区画が整備されていないことです。
熊は川沿いや山に生えた草を辿り人里まで降りてくることがあります。草刈りや電気柵など区画整備がされていれば、熊の経路を断つことができ、人里へ降りてくるリスクを軽減できます。
山や森林での熊対策
山や森林での熊対策は、熊に人間の存在を知らせて出会わないようにすることが重要です。
熊鈴やラジオは本当に効果があるのか?
熊は本来臆病な生き物なので、人間の存在を察知すると熊の方から逃げていきます。
熊鈴やラジオは遠くから熊に「人間がここにいるぞ」と存在を知らせることができるアイテムなため、効果が期待できます。
熊に遭遇しないための行動ルール
熊に遭遇しないためには、まず熊鈴やラジオ、話し声などで音を発して人間の存在を知らせることです。
また、フンや足跡など熊の痕跡を確認できれば、周囲に警戒すべきポイントがわかり、遭遇率を下げられます。
熊の痕跡(足跡・フン・爪痕)を見つけたら
熊の痕跡を見つけたら周囲を警戒しましょう。この時注意すべきは、地上だけでなく木の上に登っている可能性もあるということです。高いところにも気を配りながら歩きましょう。
さらに、笹薮から出てきた熊とバッタリ、といったケースもあります。葉の動きや音で察知できますので、不自然に動いている草木がないかを探るのもポイントです。
自宅周辺での熊対策
自宅周辺では、環境を整えて熊を近寄らせないようにすることが重要です。
ゴミの管理と熊を引き寄せない工夫
ガレージなど簡単に入れない場所にゴミを置いておくなど、熊が漁りに来ない工夫が重要です。
また、フタつきの大きなゴミ箱を用意するなど、匂いが外に漏れにくい工夫も効果が期待できます。
熊よけ電気柵の設置方法
可能であれば、電気柵の設置も効果が期待できます。
また、熊は草木などに身を隠して人里に近づいてくることがあるため、電気柵を設置する場合でも周囲の草刈りが重要です。
人が熊と遭遇した時の正しい対処法
熊と遭遇した際は、熊の全体像を見ながらゆっくりと後ずさりします。この時、熊の目は見ずにシルエットを見るようにしましょう。熊の目を見ると興奮してしまい、攻撃をしてくることがあります。
また、食べ物などがある場合はゆっくり地面に置きながら熊の注意を逸らすことも効果的です。
熊と鉢合わせした時のNG行動
ここでは熊と鉢合わせした時のNG行動の一例を紹介します。
絶対に走って逃げてはいけない理由
最もやってはいけないNG行動は、熊に背中を向けて走って逃げることです。
その熊に人間を襲う気が無かったとしても、狩りの習性として走って逃げる獲物を追いかけてくることがあります。
本来熊は好戦的な生き物ではないので、絶対に走って逃げるのはやめましょう。
大声を出すのは逆効果?
大声を出すと、熊は驚きます。驚いたまま怖がり逃げてくれればいいのですが、反対に興奮させてしまい臨戦体制に入ることもあるため注意が必要です。
基本的には大声を出さず、ゆっくりと後ずさりましょう。
熊撃退スプレーの効果と使い方
熊撃退スプレーはカプサイシンなどの辛み成分を熊の顔に吹きかけることで撃退させるアイテムです。
多くの熊撃退スプレーには、安全装置となるプラスチック片がついています。これを外し、熊の顔を目掛けて噴射することが基本的な使い方です。
ただし、熊の顔から遠すぎると効果がありません。反対に近すぎても効果がないため、5mほどの距離から噴射することが適切と言われています。
細部は製品によって異なりますので、必ず購入した熊撃退スプレーの説明書をご覧ください。
熊の出没情報をチェックする方法
熊の出没情報はインターネットの情報が早いためおすすめです。
役所や自治体の熊出没マップ
自治体のホームページなどでは熊が出没した際に情報が掲載されることがあります。
北海道であれば「ひぐまっぷ」など熊出没情報専用のアプリもあるため、地域の自治体から情報収集を行いましょう。
最新ニュースやSNSの活用
ニュースサイトやSNSで旅行先の「地域名+熊」などで検索し、リアルタイムの情報を収集することも効果的です。
また、テレビのニュースでも熊の出没情報はすぐに取り上げられます。旅行や山の中に入る前は特に注意深く情報を集めておきましょう。
まとめ|熊被害を防ぐためにできること
熊被害を防ぐためには、日頃からの対策と正しい知識が重要です
山や森林では熊鈴やラジオを活用し、痕跡(足跡・フン・爪痕)を確認しながら慎重に行動しましょう。
自宅周辺ではゴミ管理を徹底し、電気柵の設置など熊を寄せ付けない環境づくりが必要です。
万が一遭遇した際は、走って逃げずにゆっくり後退します。熊が興奮している場合には熊撃退スプレーが有効なため、事前に準備しておくことが大切です。
また、自治体の出没情報やSNSを活用し、最新情報をチェックすることもリスク回避につながります。
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