ジビエ肉と寄生虫のリスク!安全に食べるための正しい調理法も解説

ジビエ肉と寄生虫のリスク!安全に食べるための正しい調理法も解説

鹿肉や熊肉などのジビエ肉には寄生虫のリスクがあります。正しい知識と調理法を知らないと、食中毒や深刻な健康被害につながることもあるため注意が必要です。

本記事では、寄生虫の種類や症状、安全にジビエを楽しむための調理方法について詳しく解説します。せっかくの美味しいジビエ肉の思い出を台無しにしないためにもぜひご覧ください。

ジビエと寄生虫の関係

ジビエは通常の豚肉や牛肉などとは異なる経路で手元に届くため、安全性が異なります。

豚肉や牛肉は家畜として餌や健康状態の管理がされて、安全な肉のみが出荷されています。そのため、寄生虫やウイルスなどを持っている可能性が低く、一般家庭の調理でも被害はあまり出ません。

しかし、鹿肉や熊肉などのジビエは、そもそも自然界にそのまま生活していた動物を解体してできたお肉です。そのため、家畜のものよりも細菌・ウイルス・寄生虫などを持っているリスクが高くなります。

そのため、ジビエ肉を調理する際は寄生虫のリスクを知ったうえで、正しい調理が求められます。

鹿肉の寄生虫リスク

鹿肉の筋肉の内側にはサルコシスティス(住肉胞子虫)と呼ばれる寄生虫がおり、嘔吐や下痢、腹痛などの症状を引き起こします。

悪化した際には、重症熱性血小板減少症候群や腸管出血性大腸菌感染症などを発症し、最悪の場合死に至るケースもあるほどです。

鹿肉の寄生虫について詳しくは以下の記事で解説しておりますので、あわせてご覧ください。

熊肉の寄生虫リスク

熊には旋毛虫(せんもうちゅう)別名トリヒナと呼ばれる寄生虫がいることがあります。この寄生虫は人体にも有害で、不十分な処置で食べてしまうと感染し、腹痛や筋肉痛、むくみなどの症状が現れることがあります。

また、メスの旋毛虫が体に入り込むと、最悪の場合卵を産み血流に乗って全身の筋肉に到達して幼虫が寄生することもあるため、正しく調理し感染を避けましょう。

熊肉の寄生虫については、以下の記事で詳しく解説しておりますので、ぜひご覧ください。

イノシシ肉の寄生虫リスク

イノシシ肉には「肺吸虫」という寄生虫が潜んでいることがあります。

肺吸虫は「せき、たん、胸痛、呼吸困難、発熱、腹痛」などの症状があり、呼吸に関する症状が特徴的です。時には脳や皮下に感染し重症化することで最悪の場合死にいたる可能性もあります。

症状が出るまでに数週間以上かかることもあるため、原因がイノシシ肉だと気付きにくい点にも注意が必要です。

鴨肉の寄生虫リスク

鴨肉には「トキソプラズマ」という寄生虫が潜んでいることがあります。

トキソプラズマの症状としてはリンパの腫れや、発熱、頭痛などがありますが多くの場合は無症状です。

ただし、妊娠中の人は母子感染の危険があるため特に注意が必要です。本人の体は無症状であっても、お腹の赤ちゃんが先天性トキソプラズマ症に感染することもあります。

ジビエ肉を安全に食べるための方法

最後に、ジビエ肉を安全に食べるための方法を見ていきましょう。共通して言えることは、絶対に生肉で食べないということです。

さらに、加熱時間や消毒においてポイントがあるためそれぞれ解説します。

中心温度75℃で1分以上加熱する

まず、寄生虫を殺しジビエ肉を安全に食べるためには、十分な加熱が重要です。十分な加熱とは、摂氏75℃で1分以上の加熱を指します。

調理によって高温調理が難しい場合は以下の表を参考に時間を延長してください。

加熱温度加熱時間
65℃15分
66℃11分
67℃8分
68℃5分
69℃4分
70℃3分
75℃1分

※農林水産省「ジビエ利活用に関する資料」を基に作成

使った調理器具は必ず消毒する

使い終わった調理器具に寄生虫が付着していることもあるので、ジビエ肉の調理で使った調理器具は必ず消毒しましょう。

また、ジビエ肉を切った後に野菜を切るなど、同じ調理器具の使い回しも感染のリスクを高めます。肉は最後に切るか、別の包丁・まな板を使うなど普段の調理以上に気を配ることが重要です。

まとめ

ジビエ肉には寄生虫のリスクがあるため、適切な調理と衛生管理が欠かせません。鹿肉には住肉胞子虫、熊肉には旋毛虫、イノシシ肉には肺吸虫が潜む可能性があり、不十分な加熱や衛生管理で感染リスクが高まります。

鴨肉ではトキソプラズマが潜んでいる恐れがあり、多くの場合無症状ですが母子感染の危険があるので妊婦の方は特にご注意ください。

ジビエ肉を安全に食べるためには、中心温度を75℃以上で1分以上加熱し、調理器具を使い分けること、使用後は洗浄・消毒することが重要です。

狩猟のギモン、YouTubeでお答えします

シューティングサプライでは、YouTubeチャンネルも運用しています。

「鹿を仕留める時のコツはある?」
「銃の値段が違うと何が違うの?」
「そもそも銃砲店の店内ってどんな感じなの?」

上記のような、実際のお客様から寄せられた質問に対し、動画でお答えしています。他のチャンネルには中々ない、現場のギモンも解説しておりますので、ぜひ参考にしてください。

youtubeチャンネル「シューティングサプライ渡辺店長」はこちら

コメントを残す