鹿撃ちマニュアル!銃砲店店長兼エゾシカハンターが教える流し猟の基本とコツ!

鹿撃ちマニュアル!銃砲店店長兼エゾシカハンターが教える流し猟の基本とコツ!

今回は銃砲店の店長であり、エゾシカハンターでもあるシューティングサプライの「わたなべ」さんにインタビューした内容をお届けします。

鹿撃ちをしているハンターだからこそわかる現場の知識と、経験から取る確率を上げるためのコツまで解説いただけました。

これから鹿撃ちを始める方はもちろん、既に経験があり中々獲れずに困っているハンターの方にとっても有益な情報ですので、ぜひご覧ください。

鹿撃ちする前の準備

鹿撃ちをする前には物の準備が必要です。特に流し猟であれば普通の乗用車だと難しい場合があるので、車の準備(カスタム)も必要になります。

まずは物の準備から見ていきましょう。

物を準備する

物を準備する
最低限必要なもの
  • 銃カバー(内袋)
  • ナイフ
あると便利なもの
  • 距離計(レーザーレンジファインダー)
  • ノコギリ
  • ロープ
  • シャックル
  • カラビナ

最低限必要な物は、鹿を仕留めるための道具です。銃カバーについてはもちろんのこと、スリングをつけられるものの方が持ち歩きに便利なためおすすめ。

鹿猟は仕留めてそこで終わりではなく100kgを超える鹿を運んだり、解体したりといった作業が必要になります。特に荷台が無い車であればその場での解体が必須になりますので、持ち帰る為の容器と十分な切れ味のナイフを用意しておきましょう。

猟でおすすめのナイフは以下の記事で紹介しています。

車の準備

車の準備

基本的には軽トラックやピックアップトラックなど、鹿を載せられる荷台がある車が便利です。また、林道に入るとシャーシなどの車下部(腹回り)がヒットしやすいため、車高を上げておくと安心できるかと思います。

また一人で鹿猟をする場合、丸々一頭を載せるのは一苦労です。そのため、ウィンチを荷台前方に取り付けて引き上げるといった工夫が必要になる場面もありますし、腰を痛めなくて済みます。

国有林・道(県)有林に侵入する場合は、許可証が必要となるので、見えるところに表示しておくことも忘れずに。

現場のノウハウから学ぶ「鹿撃ちのコツ」

現場のノウハウから学ぶ「鹿撃ちのコツ」

ここでは、現場のノウハウを元に鹿撃ちのコツを紹介していきます。

時期選びのコツ:葉が無い時期を選ぶ

木の葉が落ちた時期であれば、鹿を発見しやすいためおすすめです。特に木と木の間で動く鹿は見つけやすいため、周辺視を使い探してみましょう。

12月の雪が降る前か、雪が降ったあとであれば、葉が無いため鹿を見つけやすくなります。さらに、雪の上であれば足跡や鹿の色を見つけやすいことも特徴。

※ただし、シカからも我々が発見されやすいことを頭に入れておいてください。

鹿を発見するコツ:違和感を見逃さない

林を見た時に、違和感がある部分を見逃さないことが重要です。

特に行き馴れた猟場であれば「あんな所に木あったかな?」や「ここはほとんど風吹かないのに草が揺れてるな」などその地ならではの違和感に気付けます。

そのため、最初は収穫が無かったとしても近場の猟場に通うというのは重要なポイントです。経験者のハンターが側にいるのであれば連れて行ってもらうと一番成長が早いでしょう。

仕留めるコツ: 依託 いたく 可能な場所を探す

止まっている鹿を撃つ際、太い木の枝や盛り上がった土など依託(銃を乗せられる)場所を探します。

乗せられる場所が無い場合でも、木に体を押し付けて依託射撃するだけでかなり反動やブレを軽減できるため命中率が上がります。

特にハーフライフルはスコープでの射撃になるかと思いますので、依託は非常に重要です。大きめのリュックがある場合は地面に置いて伏せて依託しても効果が得られます。

次に、捕獲できた後の流れを見ていきましょう。

鹿を撃ったあとの流れ

鹿を撃ったあとの流れ

鹿を撃ち、絶命させた後の流れは大きく2種類あります。「そのまま業者に引き渡す場合」と「自分で解体する場合」です。

業者に引き渡す場合

食肉処理場の業者の場合、捕獲した個体を持込処理場に買い取ってもらうといった流れになります。

事前に連絡し、納入するとお金になるためかなりお手軽な方法です。

ただし、頭か首に着弾が原則、捕獲した個体の健康状態※、素早く確実な放血、処理業者へ納入までの時間制限、全て整わないとならないので初心者には難しいこともあります。

※群れでいて、捕獲した1頭だけやけに逃げ足が遅かった、業者へ持込み内蔵を摘出した際に臓器に異常があった、その他外観で病気を疑われる個体の場合は受入を拒否されることもあります。

自分で解体する場合

鹿を捕獲した際の大部分はこちらで、捕獲後に回収して解体、又は現場解体後回収、捕獲した場所等で臨機応変に対応するのが一般的です。もちろん、残滓は全て持ち帰る事が原則です。

解体には専用のナイフと、体を守るための服装が必要になります。

射撃・捕獲・解体・全てが出来てハンターと言えます。獲物の体の構造や仕組みを覚える、上手に解体ができるようになるには自身での経験が必要ですので、射撃が上手だけでもダメです。

※解体作業をYouTubeで勉強している。といった声を最近多く聞きますが、大半は実際の作業と予習がリンクしない(動画勉強はあまり参考にならない)です。

かつて私もそうでした。動画では簡単にナイフを入れ進めますが、実際に作業となるとどこからナイフを入れたら良いか、どこから進めたら良いか、この部位はどういう風に取ったら良いか、全く動画は参考になりませんでした。

最初はヘタクソでも経験しないと覚えません。積極的に行うことが上手になる近道で、その後動画で復習、が良いと思います。

解体用のナイフ
  • ノコ
  • スキナー
  • ケーパー
  • ガットナイフ
解体時の服装
  • 不織布帽子
  • マスク
  • ゴム手袋
  • 防水性のエプロン
  • ゴム長靴

特に野生動物の体液や糞や感染症の原因にもなりますので、取り扱いには十分に注意してください。

【主な流れ】
  1. 解体場へ運ぶ
  2. 表面を洗浄する(可能であれば湯はぎする)
  3. お腹を裂いて内臓を出す
  4. 頭部を切断する
  5. 皮を剥ぐ
  6. 清浄スペースに移動し、部分毎に肉を分ける
  7. 骨を外す
  8. 精肉するす

流し猟をする時の注意点

流し猟をする時の注意点

ここでは、店長の経験から流し猟をする際に注意した方がいいポイントを紹介します。

道路を歩く時は必ず銃カバーをかける

流し猟をしていると、銃カバーの着脱を手間に感じる場面が多々あります。しかし、道路上裸銃での保持はダメと法律により定められているため、法面に足をかける前には必ず銃カバーをかけてから移動するようにしましょう。

法律上裸銃でOKとされているところでも、一目が多い等不特定多数に見られることがあった場合、不快に思われ警察に通報といった案件もあります。周りの状況を良く確認し、不快な思いを与えないといった配慮もハンターには必要です。

林道内の速度は徐行、すぐに止まれる速度で走る

林道内は狭く、場所によっては側溝があります。不注意で側溝に落ちないためや、対向車や他のハンター・動物が飛び出てきた時にすぐ止まれるようにするためにゆっくりと、すぐに止まれる速度で走りましょう。

ガラスから外を見て鹿を探していると、つい夢中になってしまうため時折前方や周囲を確認することも忘れずに。

射撃前には必ず周囲を確認する

鹿を発見した場合、当たり前のことですがまず周りの確認を行います。具体的には、発砲しても良いエリアか、矢先に人がいないか、民家が近くに無いか、バックストップとなる地形があるかなど。

その後銃カバーをつけたまま道路から林や原っぱに入り、銃カバーを外して弾込め、狙いを定めて発射します。のり面は道路扱いのため、銃カバーを外せない点にご注意ください。

半矢の場合はなるべく銃で止め刺しをする

鹿が半矢で、逃げ出せはしないけれど、まだ息がある状態の場合、基本的には銃で止め刺しをしましょう。

特に大きい個体や、オス鹿は体を振り回し、角などが自分の体に刺さってしまう事故もありますので確実にハンター側に被害が無い距離で発砲しましょう。

小さな個体やメスであればナイフでも可能ですが、安全面を考えると銃の方がおすすめです。

射撃後の動作

弾が鹿に命中、または外れて引き続き射撃が行えない場合、撃ちがら薬莢と全弾を抜き、脱砲確認後、再び銃カバーを被せて車に戻ります。

鹿を仕留めた後、車は林道の端に寄せる

林道は公共の場所であるため、鹿を解体・運搬する作業中は車を林道の端、又は往来の邪魔にならない場所に寄せておきましょう。この時、銃や弾、ナイフなどを身につけた状態で車を離れます。

まとめ

今回は鹿撃ちに関するノウハウをお伝えしました。鹿撃ちの準備は仕留めるだけでなく、運搬・解体のことも視野に入れて準備を進めましょう。

猟場に出たら違和感を探し、射撃時には依託射撃を行うことで命中率が上がります。可能であれば時期は葉が落ちた後の方が見つけやすいためおすすめです。

流し猟をする際は、銃カバーの着脱を確実に行うこと、危険が無い範囲で車を動かすことに特にご注意ください。半矢の場合は逆襲をしてくる可能性があるので、確実に銃で止め刺しをしましょう。

今回は準備と現場でのコツでしたが、鹿撃ちは弾選びも重要です。始めたてでどのような弾を選べば良いかわからないという方のために、弾に関する記事も公開しておりますので以下のリンクからご覧ください。

狩猟のギモン、YouTubeでお答えします

シューティングサプライでは、YouTubeチャンネルも運用しています。

「鹿を仕留める時のコツはある?」
「銃の値段が違うと何が違うの?」
「そもそも銃砲店の店内ってどんな感じなの?」

上記のような、実際のお客様から寄せられた質問に対し、動画でお答えしています。他のチャンネルには中々ない、現場のギモンも解説しておりますので、ぜひ参考にしてください。

youtubeチャンネル「シューティングサプライ渡辺店長」はこちら

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