ライフリングは他のパーツと違い、外側から見えにくいものです。寿命が来て撃ち続けていても全く気付かないということもあります。
しかし、ライフリングの寿命が来た銃身で撃ち続けてしまうと弾着がずれてしまい、射撃に変なクセがつき後々の狩猟・射撃に影響することも。
そこで今回は、ライフリングの寿命について解説します。判断のポイントや寿命を伸ばす方法についても紹介していますので、ライフル銃・ハーフライフル銃をお持ちの方はぜひご覧ください。
ライフリングの寿命はいつまで?
ライフリングの寿命や銃身と弾の種類によって異なります。例えば、308Winなら7,000〜8,000発撃つと寿命が来ると言われています。
ただし、火薬量(弾速)などに左右されるため個人差があります。では、どういった判断基準でライフリングの寿命を判断すれば良いのでしょうか?次の項目で解説します。
ライフリングの寿命の判断基準:弾痕で判断する
ライフリングの寿命の判断は、射撃場で静的射撃をするとわかります。ゼロイン調整をしており弾も変えていない、銃本体に異常がない(定期的なクリーニングもしている)、射撃姿勢や呼吸がいつも通り、風の影響が少ないにも関わらず、弾着が広がっている場合はライフリングの寿命である可能性が高いです。
両手を開くくらいの大きさにまとまっていればシカの頭には当たるので、狩猟メインの方は使い続けられます。ただし、命中率が下がるということは半矢や思わぬ所に弾が飛ぶ危険性が上がるということを覚えておきましょう。
ただし、「寿命」というのは個人で判断が異なることもあります。
同じ程度の銃と仮定し、100Mで5発撃って全部弾痕が重ならないと寿命だ!という方もいれば、100Mで手のひら大の集弾でも満足している。といった方もいます。
前者の考え方を寿命と考えるのも間違いではありませんし、後者の考え方をまだ現役、といった考え方も間違いではございません。
ご自身の集弾に対する考え方や使い方によって「寿命」という表現は異なる。と言えます。
ライフリングの寿命を延ばすポイント:適切な手入れをする
ライフリングの寿命を延ばすには、銃身内の手入れに気を使いましょう。頻度は射撃をする度に銃身内の掃除を行います。
この際の注意点は、真鍮製の銅ブラシ(洗い矢)など、銃身よりも柔らかい素材のブラシを使用することです。物凄い硬い素材のブラシで手入れしてしまうとライフリングやチャンバー・クラウンに傷がつき、本来の回転を得られなくなります。
反対に手入れせず、汚れなどでライフリングが詰まってしまうと、弾に回転が十分伝わらず弾着が安定しないことがあります。狩猟やライフル射撃など、撃った後には必ず正しい整備をすることを心がけましょう。
また、慣れてくるとライフル弾を自作することもあるかと思います。その時に火薬量を少なめにし弾速を抑えれば、ライフリングに負担の少ない弾にできますので、結果としてライフリングの寿命が伸びることも。ぜひ試してみてください。
弾の自作方法は以下の記事で紹介しています。
※火薬の調整等、ハンドロードにおける全ては完全自己責任になります。細心の注意を払い作成を心がけてください。
http://www.s-supply.net/contents/?p=7734
どうしてライフリングの寿命(集弾が広がってくる)がおこるのか
弾頭と銃身(ライフリング)が直接接触し、かつ音速以上の速度で通過しますので負荷がかかります。
鉄と鉄の接触による摩耗、も全くないとは限りませんが、米国の文献によると上記はさほど影響していない、といったお話もあります(所説あります)
一般的な原因のひとつがエロ―ジョン(焼損)です。
火薬の爆発力を使い推進力を得る銃は、「燃える」といったキーワードがあります。
雷管が撃針に叩かれ発火し、火薬に火花が伝播し引火、爆発を起こし薬莢より弾頭を押し出します。
薬莢より押し出された弾頭は銃身を通過して狙ったものに飛んで行くわけですが、火薬が燃えている場所(時間)は薬莢内のみとは限りません。
マグナム実包等、火薬が多く入るものは薬莢内で燃え始めた後、銃身内部でも燃えています。
火薬の燃焼は数千度とも言われており、その火薬の燃焼している時、高温高圧の燃えた火薬の粒子が高速でライフリングにぶつかります。この現象は火器である以上絶対に避けられません。
上記による火薬の粒子が高速でライフリングにぶつかることにより、銃身内(特に薬室に近いところが主です)が浸食した状態になります。一度エロ―ジョンが進みますと回復はしません。
マグナム実包の寿命が短い、と言われているところはここにあります。
ライフリング(銃身)交換は相談ください
集弾率が下がり、銃身交換が必要だと感じた際には私たちシューティングサプライにご相談ください。
ライフリングの掘り直しは無理ですので、銃身自体を交換となります。
メーカー純正の銃身は基本入手できません。安全面でメーカーサイドで供給してくれないんです。社外の銃身作成メーカーのものを利用して、当店でお取り寄せできるものは交換を承ります。また、取り寄せできない商品でもどこで入手できるかお伝えできるかと思いますので、まずはお気軽に店頭でご相談ください。
また、整備について不明な点がある方もぜひご質問いただけますと幸いです。
ハーフライフルもライフリングの寿命がある?
厳密に言えば、あります。
ですが、ハーフライフルは基本サボットスラッグを発射する銃として日本国内では浸透しています。ライフル銃と違い、サボットスラッグのサボット部がある為銃身と弾頭が直接触れ合わず、ライフリングに対しての攻撃性がいくらかマイルドです。
と、ライフル銃と違い弾速も遅い(ライフル銃308Winでおおよそ2600fps、サボット約1800fps)ので、ライフリングに対する攻撃も少ないと言えます。
寿命はありますが何百万発単位の数を撃って、どう影響しているか。といった位のお話です。
よって、銃のライフリング寿命が来る前に射手の寿命がきますね。
まとめ
今回はライフリングの寿命をテーマにお話しました。ライフリングは外から見えない分、弾着で判定する必要があります。初めのうちは中々わかりにくいですが、慣れてくるうちに「いつもと違う弾着だな」と気付く場面のあるので、そんな時は銃身交換を検討しましょう。
シューティングサプライでは、この他にもライフル射撃に関する情報を多く掲載しています。命中率アップにつながる実用的な記事からマニアックな情報まで紹介しておりますので、興味をお持ちの方はぜひご覧ください!
狩猟のギモン、YouTubeでお答えします
シューティングサプライでは、YouTubeチャンネルも運用しています。
「鹿を仕留める時のコツはある?」
「銃の値段が違うと何が違うの?」
「そもそも銃砲店の店内ってどんな感じなの?」
上記のような、実際のお客様から寄せられた質問に対し、動画でお答えしています。他のチャンネルには中々ない、現場のギモンも解説しておりますので、ぜひ参考にしてください。
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