「弾を自作すると命中率が上がると聞いた、でも何を揃えればいいんだ…?やり方も難しそうだし」
このような疑問をお持ちのあなたに向けて、記事を書かせていただきました。
この記事では、散弾実包、ライフル実包のリローディング(ハンドロード)のやり方と必要な機械、そして作成時のポイントについて解説します。
銃砲店ならではの視点からアドバイスさせていただきますので、参考にしていただけると幸いです。
弾作成は奥深いですが、手順自体は簡単です。それぞれ動画も用意しましたので、ぜひ見ながらイメージをつけてください。
リローディングは弾を再利用できるよう組み上げること
リローディングは、弾を再利用できるよう組み上げることです。専用の機械が必要で、以下の5つのパーツを揃える必要があります。
- 弾頭(ブレット)
- 薬莢(ブラスorショットシェル)
- 火薬(ガンパウダー)
- 雷管(プライマー)
ハンドロードもほぼ同じ意味ですが、新品の薬莢を使って0から作り上げる時にハンドロードと言うこともあります。新品のものでも、今回紹介する手順とほぼ同じ手順でできますので参考にしてください。
では早速、リローディングのやり方について見ていきましょう。
リローディングのやり方
リローディングは散弾・ライフル実包でそれぞれ異なります。今回は以下の機械を例に紹介します。
- 散弾実包:LEE「LOAD ALL2」
- ライフル実包RCBS「マスターリローディングキット」
散弾実包のリローディング
散弾実包のリローディングはLEEの「LOAD ALL2」を例に紹介します。後ほど詳しく紹介しますが、比較的安価で使いやすいためおすすめです。
STEP1:使用済み雷管を抜く
まずはサイジングスリーブをつけて、使用済みの雷管を抜きます。出っ張りがある所に薬莢を置き、レバーを下げます。
STEP2:リサイズ&新しい雷管を装着する
赤い丸の部分に雷管を置いてから薬莢をセット、レバーを下げます。この時は薬莢のロンデル部のサイズを再利用可能な状態に整え、新しい雷管を挿入しています。
この時、雷管の向きに注意しましょう。
STEP3:火薬を入れる
- 赤いセレクターが「POWDER」側にあることを確認する
- 中央のスペースに薬莢をセットし、レバーを引く
- 下がった状態で赤いセレクターをSHOT側に動かす
これで火薬が入ります。火薬量については事前に調整しておきましょう。
STEP5:ワッズを入れる
上部にワッズを入れレバーを引きます。この時、必ず火薬が入っていることを確認してからワッズを入れましょう。
また、流れで作業しているとワッズを入れ忘れて散弾を入れてしまうこともあります。そうなると分別が大変ですので、慣れるまでは特にワッズを入れることは注意しておきましょう。
STEP6:散弾を入れる
ワッズを入れたらレバーを下げたまま、セレクターをPOWDER側に戻します。これで散弾が入りました。
弾のサイズは目的によって変わりますので、以下の記事でご自身の目的にあった弾を選んでください。
※スラグ弾の場合、ここで散弾の代わりにスラグを入れていきます
STEP7:先端を閉じる
機械に向かって一個右の穴に薬莢をセットし、レバーを引きます。これで先端がすぼまり、スタークリンプを作るための準備ができました。
手間の穴は8枚、奥の穴は6枚のスタークリンプになります。元々の装弾のクリンプ数を確認して、選択しましょう。
STEP8:スタークリンプを閉じる
一番右の穴に薬莢をセットし、レバーを引きます。装弾を確認し、スタークリンプができていることを確認して完成です。
ライフル実包のリローディング
次にライフル実包のリローディングについて解説しましょう。公式のYouTube動画があるため、記事を読んでからご覧いただくと理解が進むと思います。
主に使うツールは以下の通り。
STEP1:薬莢の成形、使用済み雷管を抜く
ロックチャッカプレスを使用して、雷管を抜くと同時に、薬莢を成形します。
先に準備しておくことは以下の通り。
- ライフル実包に合うサイジングダイを上部にセットしておく(事前に要調整)
- ※サイジングダイはFL(フルレングス)・Neck(ネック)・SB(スモールベース)と種類があります。銃の構造型式やサイジングに使う薬莢の状態によって使い分けますが、一般的なボルトアクションの銃で使用する場合はFL(フルレングス)をお勧めします。
- ライフル実包に合うシェルホルダーをセットしておく
- 下記で紹介している、薬莢の外側に焼き付き防止のケースルブを塗布する(塗りすぎは薬莢が凹み、塗らなすぎは焼き付きます)
ここまで準備しておけば、あとは薬莢を乗せてレバーを引くだけです。この時、しっかりレバーを引き切ることを意識しましょう。
レバーを上から下に下げる際、かなりの抵抗を感じる場合はルブの塗布が足りない可能性があります。無理にレバーを下げず、一度戻してルブを塗りなおしてください。
ルブを塗布しても抵抗がある場合は薬莢がかなり膨らんでる可能性もあります。その際はゆっくりじっくりレバー操作するしか方法がありません。
STEP2:プライマーホールを清掃し、新しい雷管を入れる
クライマーポケットクリーナーを使用し、プライマーホールを清掃します。ピカピカにする必要はなく、ある程度汚れが残っていても大丈夫ですがホール奥の小さな穴(フラッシュホール)に汚れがかかっていないかはよくチェックしましょう。
ハンドプライミングツールを使用して、新しい雷管を装着していきます。この時、握る力を調整(加減)してください。力いっぱい握ると雷管が奥に入りすぎて不発の原因にもなります。最初の1個目は様子を見ながら行い、以降は1個目の力加減を維持して行うと良いでしょう。雷管が薬莢の後部とツライチになっているかも点検してください。
STEP3:火薬を入れる
パウダーメジャーを使用して火薬を入れていきます。
何個も入れていると、たまに火薬を入れ忘れることがあるので、STEP3が終わった時に必ず全ての薬莢に火薬が入っているか確認しましょう。薬莢に入っている火薬の量も気にしましょう。入ってはいるが著しく多い・少ないとったことも稀にあります。その際は必ずチャージをやり直してください。
火薬を入れ忘れると、弾頭が銃身内に残り、その状態で次弾を撃つと銃身爆発を起こす危険があります。
STEP4:弾頭を装着する
弾頭のシートは弾頭素材や弾頭形状、銃の個体差によって様々です。ここを間違えると銃に装弾が装填されない、撃っても思ったほど当たらない、火薬の量は安全圏なんだけれども腔内圧力が上がり過ぎている。といった不具合がでます。薬莢にどれくらい弾頭を押し込んだら良いか(シート量といいます)は事前に調べることが必須となります。
シート量を調べるには、使用する薬莢・弾頭・銃が必要となります。
火薬が入っていることを確認したら、ロックチャッカプレスのダイを弾頭挿入のもの(シーターダイ)に交換します。これも事前にダイを調整して、おおよその弾頭の押し込み具合を決めておきましょう。
弾頭部を薬莢の先端に乗せ、レバーを引き、弾頭がしっかりと入っていることを確認します。
最初の1発目は浅くシート(弾頭があまり刺さっていない)ところで完了するようにとどめ、そこから上記で定めたシート量になるまでシーターダイの頭のノブを回転させながら少しずつ調整します。調整が完了しましたら2発目以降のシートはレバーを下まで下げ切ればOKです。
これでリローディング完了。手順自体は散弾実包より少ないです。
事前準備でやっておくといいポイント3つ
リローディングをスムーズに進めるため、事前にやっておくといいポイントを3つ紹介します。先に使うアイテムを見ておきましょう。
1.使用済み薬莢を掃除しておく
新品薬莢からの作成はいりませんが、使用済み薬莢の場合は汚れや汚れに隠れて薬莢が損傷している場合がございます。損傷している薬莢での作成は危険を伴いますので、1本ずつ磨いて汚れをとり点検するか、ターボタンブラーという清掃機器を使用して薬莢を清掃します。
2.油を染み込ませておく
ルーブパットを使用して、薬莢に油をつけていきます。手順は以下の通り。
- ループパットに油を垂らし、染み込ませる
- 薬莢を転がし外側に油をつける
油をつけていないと、ロックチャッカプレスに装着した時に抜けなくなる(焼き付き)ことがあるためです。
3.火薬量を調整しておく
パウダーメジャーは、出る火薬の量を調整できます。リローディングスケールやデジタルスケールなどを併用して一回量を調整しておきましょう。
一度調整すれば、薬莢に直接火薬を入れることができます。火薬量の変動が不安な場合は5〜10回に一回測ることをおすすめします。
リローディングの3つのメリット
ここでは、リローディングの3つのメリットを紹介します。
1.安く済む(既製品の半額程度)
リローディングの最大のメリットは安く済むことです。一度撃った弾でもリロードすれば、新品の弾を買う時に比べ半額程度で済みます。
ただし、弾の部品も値段がピンキリです。より良い火薬や雷管を使おうとすると、既製品と同じかそれ以上の値段になってしまうためご注意ください。
2.極めれば命中精度が上がる
弾頭から火薬、雷管まで全ての部品において選定が可能になるので、自分の銃に合う弾を作れます。つまり、命中率が上がるのです。
狩猟での実用はもちろん、射撃大会などで上位を狙うには弾へのこだわりも必要になってきます。
3.試行錯誤の楽しさがある
装弾を自作すると、雷管や火薬、散弾(弾頭)の組み合わせによって弾の飛び方が異なることに気付きます。自分の銃に合う弾を作るべく試行錯誤を繰り返し、最高の一発ができた時の喜びはひとしおです。
リローディングのデメリット
リローディングのデメリットについても触れておきましょう。
1.ネット上に情報が少ない
リローディングはネット上に情報が少なく、自分で試そうと思うとかなり大変です。近くに習熟した人がいれば心強いですが、そんな人と知り合う機会も中々ありません。
そんな時は、銃砲店や猟友会が主催している射撃大会への参加をおすすめします。交流目的で行っているものも多く、先輩ハンターたちからノウハウを教えてもらえるチャンスです。
シューティングサプライでも射撃大会を年に数回開催しているので、タイミングが合えばぜひお越しください。
2.初期投資が高い
リローディングキットは安くても2万円程度で、全て揃えると10万円近くなります。ランニングコストは安くなりますが、数回使う程度であれば既製品の装弾を買った方が安く済むケースが多いです。
今後使い続ける確信が持てた時に購入しましょう。
3.帳簿づけが大変
既製品の購入では、どれだけ買ったか、どれだけ使ったかで済みます。これがリローディング・ハンドロードになると雷管を何個使ったか、火薬を何g使ったかまで記載しなくてはいけません。
帳簿については毎回使う量を決めておき、エクセルなど表計算ソフトで記載するのがおすすめです。
では最後に、おすすめのツールを紹介しましょう。
おすすめのリローディングツール
今回例で紹介したリローディングツールは、使用者も多くおすすめのアイテムになります。それぞれ紹介しましょう。
LEE「LOAD ALL2」
LOAD ALL2は散弾実包用のリローディングツールであり、シンプルな動作でわかりやすい、値段が2万円程度と比較的安価なことが特徴。
追加で購入する部品も無く、散弾実包を作れるためまずはこちらでエントリーすることをおすすめします。
RCBS「マスターリローディングキット」
マスターリローディングキットは、散弾実包及びライフル実包を作成するために必要なツールがセットになったキットです。
使っている人が多いため動画や情報が数多く上がっており、信頼性が高いキット。1セット持っておけば今後困ることはありません。
ただし、値段が10万円近くすること、実包に合う「ダイセット」と「シェルホルダー」が別途必要なのでかなりお金がかかります。
まとめ
今回はリローディング(ハンドロード)について解説しました。弾作成はリローディングツールがあれば簡単に行うことができます。
しかし、実際に作った弾を撃ってみると、思ったように飛ばない、不発弾になるなど思い通りにいかないことも多々あります。
そんな時は、ぜひ旭川市のシューティングサプライにお越しください。銃砲店としての知識と、狩猟や射撃をする現場の知識の両方をお伝えできます。
あなたの命中率を上げるために、一緒に研究していきましょう。
また、シューティングサプライでは狩猟や射撃に関する多くの情報を公開しています。ぜひ他の記事もご覧ください。
狩猟のギモン、YouTubeでお答えします
シューティングサプライでは、YouTubeチャンネルも運用しています。
「鹿を仕留める時のコツはある?」
「銃の値段が違うと何が違うの?」
「そもそも銃砲店の店内ってどんな感じなの?」
上記のような、実際のお客様から寄せられた質問に対し、動画でお答えしています。他のチャンネルには中々ない、現場のギモンも解説しておりますので、ぜひ参考にしてください。
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